大根ください(イケボ)

微課金きくうしの雑記帳

『白詰草想話』は本当に第二のロミジュリ枠なのか

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 年の瀬も近づく11月末ってタイミングでまたクソ重いシナリオイベントでしたね。サビルバラはゲーム開始初期に引いて散々お世話になった子で思い入れもひとしおでしたが……まぁ、期待以上に、救いのないシナリオで。

ただ、SNS等で上がっているような「ロミジュリ並みの消化不良」であったり「続編に期待」「カラクラキルプレイアブル化!」みたいな思いは、自分は持っていなかったりします。

 

※以下、開催中のイベントシナリオのバレと個人的な解釈、私見を多分に含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、境遇自体に救いはなかった

 恒常キャラの加入エピ、アビエピ、そしてイベントの随所で言及されている通り、サビルバラは血の繋がったたった一人の妹、カラクラキルは生涯の伴侶となるはずであった妻……ともに同一、唯一無二のクラーバラという存在を過去に亡くしています。

そう、過去。

変えようもない過去という時間軸の中で、二人の、三人の幸多からん未来への道はすっぱりと断たれています。こればかりはもう覆しようもない事実であり、生き残った二人は今後どう生きようと救いはなく、それを自覚しているからこそ、【敵を討とう】【悲劇の根源たる妖刀を根絶せしめよう】……そんななけなしの前向きさを持った理想を掲げて、すがって、旅に出たわけです。

妖刀云々以前に、カラクラキルは狂っていた

 妖刀の根源にかかわる研究をしていたカラクラキル……彼の生家の努力により、サビルバラの家に伝わる妖刀には『斬った相手の魂を閉じ込め、痛苦を繰り返し味わわせることで切れ味を増す』性質があることがわかっていました。

重要なのは、この事実はクラーバラがその妖刀に斬り殺されるより前に、既に詳らかになっていたこと。

そしてその事実をサビルバラは知らず、カラクラキルの一族側にしか伝わっていなかったこと。

つまり婚礼行列が襲撃され、花嫁が惨殺されたあの時、

瀕死の重傷を負って生き残った兄は、ただただひたすらに、仇討と、呪いの根源たる家宝の妖刀の回収、根絶のために

変わり果てた妻の姿を目前に、髪を蒼白にして悲劇を呪った義弟は、仇討、復讐に加えて、ほんの少しばかりの希望……死者の魂を掬い上げるという歪んだ希望に、一縷の望みをかけて

それぞれ、故郷を飛び出したことになります。

変えられない過去に、諦めとやり場のない怒りを抱えて生きていくのと、もしかしたら、いやきっと……そんな、1にも、0.1にも満たないような確率であろうとも、可能性を見出して生きていくのは訳が違います。なにせ、たとえそれが万に一つの可能性……奇跡レベルの話だとしても、その運命一切合切が自分の執念に委ねられています。

自分が挫けなければ、諦めなければどうにかなる……かもしれない。

その『かもしれない』がいつしか欠落して『自分が成さねば』という呪いの鎖になるのは自明の理。

それが自然の摂理を歪めるような手段であればなおのこと、

それが愛してやまない人のためであればなおのこと。

冷静で知性的であったカラクラキルのことです、対象をニュートラルに受け止められさえすれば、『たとえ刀から分離できたとして、延々と痛苦を与え続けられた魂がまともな状態であるわけがない』ことにも気づけたはず。

ラクラキルはクラーバラを亡くしたあの瞬間から、既に狂気の道を突き進んでしまっていたのでしょう。ただ一点、クラーバラに関することに限定して。

コルウェルと決定的に異なるのは、それが妖刀の侵食が原因ではないこと。血筋として妖刀をある程度御せるのだから当然とは言えますが、おサダやガロウザを『個』として認識していた点からもそれはうかがえます。

静かに、理性的に、そして破滅的に

ラクラキルは、自ら進んで狂気の道を選んだのでしょう。

救いのありえないシナリオに、それでも公式な結末を望むのか

 記憶の消失や理性、感情の崩壊を経て、ストーリー終盤のカラクラキルはコルウェルと大差ない狂気の存在に変貌していきます。そもそもの狂気の起点となった『クラーバラの魂のサルベージ』という信念が、今度は彼の自我をギリギリ保たせる楔となっているのがなんとも皮肉です。

シナリオ中、彼がサビルバラの妖刀を抱えて姿を消し、それからどうなったのかは明言されていません。その演出が、消化不良である、続編に続くのか、そう言った不満の声にもつながっています。

 

ただ

ただですね

 

※ここから素全開です

 

 

どんな結末を描いたとしても、二人は、三人は救われません。

 

 

ラクラキルが妖刀から魂をサルベージする術を確立させたとして、彼が掬い上げたいと考えているのはクラーバラただ一人。積年の、そしてコルウェルの手元にあった時代にひたすら斬られた人々の魂のことなんて、正常な頃ならいざ知らず、シナリオ終盤の精神状態であれば間違いなく脳の片隅でだって考えてもいないでしょう。

シナリオに明確な続きを、結末を求めるのであれば、彼に命の取捨選択をさせることになるでしょう。

冷静で、聡明で、心穏やかであったはずの、彼に。

同時、家宝の妖刀の在り方を知ってしまったサビルバラには、自身の本懐を遂げることはすなわち、欠片でも残っているかもしれない妹の魂を完全に消滅させる……妹を二度殺す、そしてその【二度目】が自分の手になるという呪いが課せられてしまっています。

幸運を願って送り出したはずの最愛の人に、自分の手でとどめを刺す……ただ敵を討ち、呪いの源を断つために生きてきた、彼に。

そして故人であるクラーバラとて、最愛の夫と兄が、自分のためにそんな呪いを受けることをよしとするわけもないでしょう。当然、刀身の中で永遠の痛苦に苛まれることもですが、その痛苦から解放されるために、多くの他人が犠牲になることも。

 

結末を描ききること、それはすなわち三者三様にトドメを刺すのと同じこと。

ただでさえ悲劇しかないあの三人に、そこまで鞭を打つのかと……。

 

あんたら鬼か!!

 

 

彼らの結末がどうなるのか、それはこのシナリオイベントを見届けたそれぞれが自由に思い描く……それでいいんじゃないかと、自分は思っています。

それこそ、このどうしようもない鬱エンドをなんとしてでもハピエンにしてやるZE!なんてハピエン至上主義の二次創作者リアルコルワさん、腕の見せ所なんじゃないでしょうか。 出来上がったら是非見せてください。いや本当に、割とマジで。寺生まれのTさんでも登場させないとかなりのハードモードだと思いますけど、頑張ってください。

 

ただ、ただ一点、欲というか希望を言わせてもらえば、

 

一面の白詰草の野原の真ん中に並んで突き刺さる朽ちた妖刀

 

そんな公式の一枚絵があっただけでも、受け手側の印象は、だいぶ変わったんじゃないかなとは、思います。

 

 

ロミジュリとは違うとだけは、声に出して言いたい

 最後に、歴代のシナリオイベントの中でも屈指の鬱エンドと言われている「この想いを、何に喩えようか」との違いについて、個人的な印象を綴っておきたいです。

※以下『届かないほど、遠くのあなたへ』と『この想いを、何に喩えようか』=『ロミジュリイベ』と称します。

知らない人向け『ロミジュリ』イベント概要

 『届かないほど、遠くのあなたへ』『この想いを、何に喩えようか』の二編構成となっているシナリオイベント。実在する戯曲のシナリオになぞらえた内容で、前編の『届かないほど~』が友の犠牲を乗り越えて掴んだ幸せな未来への道を進む内容で終わった中、後編の『この想い~』ではまさかの破局。ラスボスが前編の主人公の上に、それをきっちり討伐させられて終わるという鬱エンドに、「マキューシオとティボルトの犠牲は……」と、多くの騎空士たちが呆然とした。

 

今でこそSSRキャラとして輩出されているロミオとジュリエットですが、その実装時期は、

  • ジュリエット:2016/9/30
  • ロミオ:2016/10/14

サービス開始初期の頃に開催された『届かないほど、遠くのあなたへ』の復刻と続編『この想いを、何に喩えようか』の開催が同時にされたのが2016/9/30~10/8……つまり、ジュリエットは復刻と同時、ロミオはシナリオイベント終了後の実装です。

当時、とんでもない鬱エンドを迎えて虚無になっていた騎空士たちは、突然の聖王モンタギューの再臨に「生きとったんかワレェ!」と総ツッコミの嵐でした。

さて、ロミジュリイベントでさんざん言われている問題点は、大変な鬱エンドな内容だったシナリオの核心部分が、SSRロミオのフェイトエピソードでしか明らかにならないことです。

シナリオの終わり方、道中で描かれるジュリエットや加入SRキャラパリスの苦悩や葛藤を見れば、何らかの形で聖王モンタギュー……ロミオは生きているはずだと、察しはつきます。ただ、その部分が描かれるのは、SSRロミオのフェイトエピ。つまりロミジュリイベントの真なるエンディングを見届けるためには、ガチャでSSRロミオを引かなければならないのです。

 

詳しくはWebでってレベルじゃねーぞ

 

 

実際問題、当方、ロミジュリイベントは両方経験していますが、肝心のシリウス受け太郎ロミオが一向に引けないままなので、どんな内容はある程度察しもついてはいたとしても、その正答をこの目で確認できてはいません。つまり、自分の中ではロミオは聖王モンタギューのまま。頭の固い融通の利かないジュリエット泣かせのクソ王様のままです。ロミジュリイベントは完結しないまま、もう二年が経過しています。

かたや今回の『白詰草想話』では、信頼度制も撤廃されたため、イベクエに参加した皆に等しくSRサビルバラが加入しています。加入フェイト、アビリティフェイトエピをなぞれば、シナリオに関わる情報すべてがみなに等しくいきわたります。

 

公式に結末が明言されているけれども、そこにたどり着くのに越えなければいけない壁(直球で言えば課金)がある

公式に結末は明言されていないけれども、イベント参加者には等しく、一定の情報が共有される

 

この差は、大きい。

その点だけを取っても、シナリオ範囲内で一定の結末を見ている『白詰草想話』はロミジュリイベとはちがうと、自分は思っています。

 

余談というか少し脱線しますが、今後プレイアブルキャラとしてカラクラキルやSSRサビルバラが実装されたとして、それが恒常ガチャキャラだとすれば、『白詰草想話』未経験のユーザーには「おっなんかいきなり設定重いキャラ来たけど、アンタ誰?」状態じゃないですか。彼らの悲劇の内容を知らないままいきなり後日談を見せられるって、推理小説をケツから読ませられるようなもんです。こんなもったいない話があっていいものか。まぁそれは闇おっさんや闇シロウにも言えることなのですが。

 

 

最後に、どうでもいい雑記

 『プレガンド・コーラス』や『俺たちのレンジャーサイン!』と並び、声優の名演に圧倒された今シナリオイベントですが、そこかしこに垣間見える公式メタに、何度もにやりとさせられました。

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あんた、マキリとかゾォルケンとか間桐臓硯とかって名前なんじゃないの。

個人的には、カラクラキルに「だがそれでも……俺は間違えてなどいなかった」って言ってほしかったですね。